暑熱環境における風速変動による気持ち良さ評価と快適感の相違

摘要

1) 室温32°C時に風速1m/sまたは2m/sから0.1m/sまで低下する際に、寒暑感は「中庸」な評価から「とても暑い」へほぼ3尺度分変化するのに対して、気持ち良さ評価は2?5.5尺度分気持ち悪い側に変化する。2) 風速2m/s時は風速が大きいことによる皮膚温低下のために気持ち良さ評価が悪い。風速が1m/s以下になると気持ち悪さが悪化する。3) 風速変動にかかわらず、気流を感じるほど寒い側の評価になる傾向があり、室温28°C時には人体からの放熱量が大きくなることから、室温32°C時より寒い側評価が多い。寒暑感は室温や風速の影響を大きく受け、気流感は最大風速の影響を受ける。4) 風速変動時において、気流感を感じるほど室温32°C時には人体からの放熱量が促進されて快適側に感じるのに対して、室温28°Cでは放熱量が多すぎるために不快側に感じる。最大風速と最小風速との差が小さい矩形波の場合に中庸な快適感を示し、瞬時に最大風速に達する逆のこぎり波の場合には他の波形時と比べて32°C時に最も快適で、28°C時に最も不快感になる。5) 寒暑感がほぼ近似していても、風速変動や室温により感の尺度変化幅は大きく異なる。