塩素系薬剤を用いた微生物対策(第15報)　枯草菌(芽胞)による殺菌効果の検証

摘要

最近、新型インフルエンザやSARSなどのパンデミックの発生やバイオテロに関し、ウイルスや細菌などの微生物対策が益々注目されている。更に、医薬品や食品の生産施設でも、微生物対策を含めた高い水準の施設内環境が求められいる。室内空間における微生物対策の中で、薬剤対策は主な手法の1つであるが、使用する薬剤や対象の微生物ばかりでなく、対象室の状況、空調条件や薬剤の散布条件などによって薬剤の効果は異なる。我々は既に代表的な条件で、グラム陽性菌である黄色ブドウ球菌とグラム陰性菌である大腸菌を用いて実大試験を実施し、気流解析モデル(CFD)に必要なデータ(原単位)を導き出し、様々な条件下での薬剤効果を予測できる手法を開発してきた。本稿では更なる知見を高めるため、塩素系薬剤での殺菌効果を、薬剤耐性の高い枯草菌の芽胞を中心に、黄色ブドウ球菌、大腸菌の他に院内感染に関連の深い緑膿菌を含めた4種類の指標菌を用いて実大実験にて検証した。