ダマスクスにおける墓廟の棟数と分布: キリスト教?イスラームの文化混淆地域における歴史建築の研究　15

摘要

ダマスタスには少なくとも94棟の墓廟が存在した。これらの墓廟の多くは、旧市街地及び近隣地区、サーリヒーエ地区やミダン地区といった、マムルーク朝期までに形成された居住地区の付近に建設された。また、墓廟の創建時期をみると、アイユーブ朝からマムルーク朝期において建設されたものが8割を占めていることからも、マムルーク朝期までは新たな居住地区の形成と同時に、当該地区に墓廟建設が行われている。一方で、オスマン朝期における墓廟の棟数が少ないことから、他の建築類型においても同様の検討を加え、今後は当時におけるダマスクスの建設状況を把握する予定である。