大規模計画分譲住宅団地における世帯ネットワークの実態に関する調査・研究:多摩市桜ヶ丘住宅団地を事例として

摘要

世帯主の年代は60 代から70 代が最も多く、これらの世帯は同時期に世代の転換期を迎えると、それに伴い住宅地も転換期に入り、世帯の入れ替わりが著しくなると考えられる。この転換期において、住宅地の更新がうまくいくためには、現状どのような居住実態があり、今後どのような世帯構成の変化が予測されるのかということを整理する必要があると考えた。そこで行った世帯型の分類については、単独型、同居意向のない別居型・近居型が分類される世帯縮小型が最も多いという傾向を掴むことができた。その他にも、同居意向のある別居型・近居型が分類される世帯拡大型、今後どう世帯構成が変化するかによってどちらの可能性も考えられる同居型が見られた。この傾向から、今後空きが発生するのは必然的であるが、この空きに対する利用の選択肢として、再び新築して建売分譲する、賃貸する、中古住宅のまま分譲するというものが考えられる。空き家発生時の賃貸については、同居意向のある近居世帯や別居世帯に賃貸することで、同居意向を妨げる要因の一つである「子世帯の持ち家取得」という点が緩和され、二世帯循環同居型のような、家族間での住宅循環のサイクルが形成されやすくなると考えられる。一方、中古分譲という利用方法に関しては、中古住宅を介した空き家の循環の仕組みとして、地域内近居型の世帯の中で、空き家になった住宅を中古住宅として家族間で循環させているもの、地域内で循環させているものが見られた。このように空き家の利用方法を世帯ネットワークと結びつけることで、住宅の循環利用が可能になると考えられる。