コンピュータビジョンによる室内危険空間の自動認識:緊急地震速報を利用した負傷回避システムの開発に向けて

摘要

気象庁の緊急地震速報の一般配信が開始されてから約1年半が経過する（2009 年4 月現在）。地震発生時に大きな揺れがやってくる前に揺れの大きさ及び揺れるまでの猶予時間を知らせてくれるこのシステムは、これまでの地震対策、いわゆる事前対策や事後対応とは一線を画す“最中対策”の可能性を切り開いたことの意義は大きい。しかしながら、その情報の利用法については高速鉄道やエレベータ等の緊急速度制御にみられる設備の制御を除き、学校・医療機関等の組織における地震発生周知に止まり、十分な活用法が提案されているとは言い難い。一般住宅に至っては、各々の世帯で配信時の状況をイメージし、そのときに備えよとの認識レベルの段階に止まっている。緊急地震速報の活用の要諦は、その情報から的確な行動をいかに早く意思決定するかに掛かっている。