既存建築を活用した自立高齢者地域支援拠点の運営形態と平面構成: 土浦市「生きがい対応型デイサービス事業」を対象として

摘要

少子高齢化の進行による健康長寿社会の構築に向けて、高齢者が集い趣味活動等を行う「通いの場」の拡充が推進されている。地方都市における空き家・空き店舗増加の社会状況を踏まえると、既存建築の有効活用による地域拠点づくりは重要課題となっている。しかし現状として、開催回数が少なく公民館などを間借りして実施されており、拡充に向けては担い手と場所の確保が課題である。その中で、茨城県土浦市の「生きがい対応型デイサービス事業」（以降「生きがい事業」）は、地域住民主体で運営され、かつ既存建築を活用した常設占有の拠点を確保しており、「通いの場」整備手法の先進事例として位置づけられる。既往研究には、自立高齢者の通所施設の運営・整備状況を分析したものや、民家を高齢者福祉施設に転用した事例を研究したものなどはあるが、既存建築を活用した自立高齢者支援施設に着目した研究蓄積は少ない。