展望台建築における視線の複層構造展望台建築のSNS 投稿写真にみられる景色・場・人の関係（１）

摘要

景色を見ることを目的とした場をもつ展望台建築は、景色を《見る》場になると同時に、その立地や形態により建築自体が《見られる》場にもなり、そこには二重の視線の関係が生じている。また、メディアを通して写真を撮影・発信・閲覧することが日常化した現代では、自らがSNSに投稿した写真によって自分の居場所や行為を《見られる》ことが展望台建築を取り巻く状況に加わっており、景色・場・人によってできる関係性に複層化した構造が生まれている( 図1)。本研究では、展望台建築で撮影されSNSに投稿された写真を題材とし、景色・場・人の関係性を検討することで、SNS というメディアを通して生まれる現代特有の空間の捉えられ方を明らかにする( 図2)。