妊娠期の身体的変化及び生理的変化と日常生活動作の関係妊娠による身体的・生理的変化と住宅内事故の関係に関する研究 その1

摘要

本稿では妊娠月数を含む妊娠による変化（身体的変化・生理的変化）別に住宅内で行われるADL の変化21 項目（以下、「ADL 項目」）との関係を捉えた。既往研究1)ではADL は妊娠週数の経過とともに腹囲が大きくなると変化を認識しやすくなることを捉えたが、本稿から妊娠6ヶ月を起点として、居室での床からの立ち座り及び靴や服の着脱（立位）等、①下肢負担が大きい、②身体のバランスが必要、③様々な動作の組み合わせを必要となるADL の変化は認識しやすくなることを明らかにした。一方、玄関での扉の開閉及び上り框の昇降等、下肢の負担が小さく単純な動作のADL は、妊娠月数が進hでもADLの変化は認識しにくい。さらに体重別では5kg の増加があると、腹囲別では90cm 以上になるとADL の変化を認識しやすくなる傾向を捉えた。ほかに、生理的変化別では、生理的変化の種類に関わらず、ADL の変化はほぼ同様の傾向を示した。以上から、妊娠によるADL の変化は妊娠月数、腹囲、体重の変化や生理的変化が関連し、その要素が複合的に作用している可能性がある。