1970 年代-80 年代の日本の「商品化時代」の工業化住宅の商品動向について

摘要

プレハブメーカーが生産する工業化住宅は、全国的な住宅不足を背景として1960 年代に誕生し、現在に至るまで約450 万戸が建設されるなど日本の住宅供給の一翼を担っている(図1)。 1970 年代後半には「商品化時代」と呼ばれる工業化住宅の第一世代の成熟期1）をむかえ、「量から質へ」という標語の下、マーケティングなどの消費者目線の商品開発が行われ、「商品化住宅」が販売されるようになった。こうした「商品化時代」に建設された工業化住宅は現在、膨大なストックを形成としており、このストックの改修が社会的急務となっている。しかしながら、松村らを中心とする建築構法学における工業化住宅の歴史研究は1980 年以前を対象としたもの2） が多く、「商品化時代」の住宅を対象とする研究は多くがマーケティングや商品イメージに関するもの3)である。すでに発表者により工業化住宅の公的承認制度である工業化住宅性能認定を70 年代-80 年代に受けた住宅に型式に関しては悉皆調査が行われている4)。しかし具体的にどのような商品が生産・販売されてきたかという体系的な知見は整備されていない。