「デザイン評価」の可視・共有化を促進するコミュニケーション環境に関する研究- AHP アプリを導入したデザイン審査会方式の実施報告

摘要

審査会における「デザイン評価」の開示・共有　デザインには唯一の正解がなく、それに関わる意思決定注１）では複雑な諸条件に照らして対象を総合的に判断する力が求められる。井上ら文献２）は「デザイン評価」を「デザイナーが各種の意思決定を行うにあたって必要な情報を提供すること」と定義し、評価と意思決定を分離して考えることを提唱した注２）。例えばデザインの審査会では、審査員は限られた審査時間で複数作品についての「デザイン評価」を明らかにすることを通して、審査員間で議論して一作品を決定している。つまり審査の透明性は勿論、集団における意思決定をより納得出来るものにする為には、そこへ至るまでの判断材料の提供としての「デザイン評価」の開示・共有の質を向上することが求められる。特に設計教育においては一作品を選ぶことよりも、学生らの学習機会に重きが置かれる為、「デザイン評価」の開示・共有がフィードバックやモチベーション向上へと繋がるかもしれない。