建築現場内の定点画像を起点とした作業分析: 外周足場工事を対象とした作業の流れの可視化

摘要

一般的な建築現場の場合、現場管理者は複数の専門工事業者が安全で効率的に作業を行えるように、各専門工事業者の職長との打ち合わせを通して、日々の作業場所の割り当てを計画する。計画に則り実施された作業の実積は、日々の巡回や検査による断片的な確認とともに、毎日の作業終了後に職長から提出される作業日報に記載された施工数量により把握される。この実積把握手法における計画の適正性のバロメーターは歩掛り[人日]である。歩掛り[人日]は、サイクル日数の検討や、週間・月間工程の見直しなど大枠で作業の遅れを把握するには適しているものの、日々調整する作業場所の割り当てが適切であったかを判断することはできず、日々の作業場所の割り当ての適正性は、主として職長の主観による評価に依らざるを得ない。しかしながら、職長自身も技能者として作業を実施せざるを得ない昨今の状況においては、職長が、割り当てられた作業場所の状況をすべて把握することは、極めて困難であると言わざるを得ない。つまり、日々の作業場所の割り当ての適正性は未評価のまま、計画者の過去の経験に依って次工程が計画されている。著者は、この日々の作業場所の割り当ての適正化に、生産性向上の余地があるものと考える。