前川國男設計の美術館·博物館に関する研究(2): 熊本県立美術館における空間構成とテクスチユア表現

摘要

前川國男(1905～1986)は、身近な素材と単純な構法を用い簡素で明快な空間をつくりあげながらも、確かな存在感、時を経るにつれての成熟、そして人間のよりどころなどを内包する近代建築を創出しており、それは前川氏の独自の境地を示している。さらに人々の空間体験によって、素材や質感、肌触りなどさまざまな魅力を感じ取ることができる作品として評価されている。われわれは、彼の独特の「テクスチユア表現」がそのような魅力を空間にもたらしているものの一つであると捉えている。