円覚寺の復元に関する研究 その8 斗拱組織からみた円覚寺仏殿

摘要

円覚寺開山芥隠承琥は、尚泰久が即位した1454年ごろ来琉したとされている。『琉球國由来記』には芥隠承琥は京都の人とされ、南禅寺塔頭語心の徒で、『開山國師行由記』に古林淸茂·竺仙梵罹•椿庭海寿の法統を継ぐ5世孫とあり、椿庭海寿の法嗣であることを物語る記述がある。円覚寺殿中鐘、殿前鐘、楼鐘の铸造に、大工「藤原」とあり、京都の铸物師が関与している記述がある。円覚寺建立にあたり芥隠承琥の持つ人脈が活かされたものと推測でき、寺社の建立の際も京の宮大工が集められたのではないかと考えられる。本稿では関ロ欣也博士の『中世禅宗様仏堂の斗拱(1)』を参考に、改めて古写真による斗拱組織の具体的な納まりについて検証をおこない、時代や系統について言及するとともに中世禅宗様方3間裳階付仏堂の中世遺構における円覚党寺仏殿の位置づけをおこなうことを目的とする。