映画にみる生活の場面と設えの関係

摘要

ヒトは類人猿時代から道具を使用し始め,現在に至るまで道具と共に生活し，進化し続けた。また,時代と共に道具は家具や調度品など多種多様に幅を広げ,人々の行為から感情に至るまで密接な関係を築き上げてきた。つまり，人は家具・調度品(道具)なしには生きていけない存在であると言っても過言ではない。そうした家具・調度品は人の住まう建築とも関係を築きながら,建築空間へ多大な影響を与えてきた。本研究では，設えに着目し，映像空間に映し出されている人々の生活との関係を読み取り，統計的に分析していくことで設えと人々の感情との関係について論考することを目的とする。2.研究対象本研究では，設えと人々の感情との関係を明らかにするため，映像空間の中でも様々なストーリ—を有し，人々の生活が映し出されている映画を研究対象とする。そこで，世界の映画について書かれた文献3冊に共通して登場する映画作品を，一般的に高く評価されているものとし，更に，時代設定や舞台による偏りをなくすために，これらを考慮に入れ，入手可能な67作品の映画を選出し研究対象とする。