白意匠計画論: 建築における「白」が持つ多義性について

摘要

芸術の世界において「白」ほど多くの思惑を込めて使われた色はないであろう。抽象芸術の偉大な先駆者ヮシリー・カンディンスキー(1866-1944)は20世紀を代表する画家のひとりである。彼の絵画にみられる「白」は他の色を拾う。しかし、「白」である。ここには、絶対的に認識される白と相対的に認識される白が同時に存在する。様々な芸術に見られる「白」の持つ多義性。多義の概念を内包する「白」は無限の可能性を秘める。「白」は「白」でありながらも、幾重にも及ぶ無限の色彩を放つのである。