熊本県下の造リ物行事を伴う祭礼空間の研究: 城南町夏祭を事例として

摘要

江戸後期から現在まで、対象事例の変遷とその要因は大きく以下の4つに整理することができる。第一は、制作場所の広域化である。平成18年参加の14団体中6は商店街から離れた場所で制作している。本来都市生活の延長上にある行事の変化を示し、材料として日用品が用いられない状況にも反映されている。展示と制作場所が分離する現象に伴い、市町村単位で造り物が受け渡しされることは広域化を示す大きな要素である。県下の造り物行事を伴う祭礼は期日が異なるため、他地域間での合同制作や、同じ造り物を各地域間で展示する場合がある。一地域の特定の範囲内でおこなわれてきた行事がその範囲内での維持が困難となり、同じ行事を持つ地域が旧街道·往還を通した古くからある商いの連携により新たな繋がりを生hだと考えられる。