現代建築作品における「道空間」の構成的修辞

摘要

近代建築の五原則(ル·コルビユヅェ)の1つであるピロティは建物から地表面を開放することを意図したものだが一方で、建物内部を地表面から切り離しているともいえる。これに対して現代建築作品にしばしば見られる、建物内部を道のように通り抜ける動線空間(以下道空間)は、周辺環境をつないだり、建物内部を組織化したりするといった、敷地の内外に対する応答の仕方が重ねられていると捉えられる。そこで本研究では、道空間をもつ現代建築作品を対象とし、道空間の形式、つなげられる周辺環境、またその性格の検討から構成パタンを導くことを通して、道空間という構成形式を用いた建築の修辞的内容の一端を明らかにすることを目的とする。