用途転用を伴った建築改修に関する意匠考察: パリにおける近代建築の改修事例1

摘要

我が国は歴史的建造物の高い保存技術を有しているが、一般的な近代建築の改修は未だに乏しい状況にある。一方パリには一般的な近代建築を改修した秀逸な作品が数多く点在する。その量はフランスの主要建築雑誌L'Architecture d'Aujowd'hui 誌、Technique & Architecture 誌、Le Moniteur Architecture誌の1990年1月号から2004年12月号に掲載された増築を含む建築改修の事例数が約140例であったことからも明らかである。本研究では全事例から「住宅に改修された事例」と「大規模な増築を伴つた改修事例」を除外し、さらに「用途転用を伴った改修事例」、「用途転用を伴わない改修事例」に分類した。その結果「用途転用を伴った改修事例」は43例に上り、その中から建築改修が顕著に見られる事例17例を対象に現地調査を実施した。