英租借地の成立と借地状況近代上海における租界地の形成過程　その1

摘要

近代上海の都市形態や建築構成は、租界時代に成立したものといえる。租界とは、1843年開港以降、英、米、仏によって造られた外国人の居留地をさす。旧租界は近年、その変貌が著しいが、中心部(旧英租界)には、外国の不動産業者が開発された中国人用の賃貸住宅である「里弄住宅」が多数残り、かつ、里弄住宅団地の周辺や内部に、当時に形成された中国人商店街が現存している。これまで、租界については当時に開発された近代建築、里弄住宅などに関する建築史的研究は多い。