景観法の運用手法に関する研究: 「都市景観100選」の対象地区の選定基準の分析，その1

摘要

分析結果により，伝統的建造物(群)，歴史的街並みはその景観形成において地区の核となることが多く，「保存型」の景観形成が行なわれている。一体的開発地•整備地では、現代的建造物群が建ち並び緣豊かな統一性の高い地区が多く，「創出型」の景観形成が行なわれている。既成市街地では散在する近代建築物や周囲の現代建築物などの建築様式•形態との調和，また沿道景観の整備などが多く，「調整型」の景観形成が行なわれている。しかし，各対象地区の範囲の境界をみると，一体的に開発•整備された地区は明確であるが，既成市街地，伝統的街並みでは境界が曖昧なものが多く，対象地区の範囲の境界を明確にするための指針が，特に「景観法」の運用の際には必要条件となろう。その2では，対象地区の景観構成要素の分析を行なう。