門中御願(ゥガン)と集落の空間構成について: 沖縄県北中城村安谷屋集落の御願空間について• その1

摘要

沖縄本島における集落の主な御願や祭祀は、一般的にノロが司るとされる。またノロ殿内は、他の民家に比べ高い場所や、御嶽が分布する聖域に最も近い場所に所在する。しかし、安谷屋の「元屋の位置し「御願のルート」、「祭場(殿)での祭祀形態」からは、集落創世に関わる「熱田」門中の神人や「仲」門中の神人を御願の上位に挙げながら、ノロが全体の御願を司っていたことがわかった。また、「仲」門中の宗家は、「安谷屋ノロ殿内」よりも聖域(安谷屋グスク)に近い側、集落を見渡せる高い位置に所在する(図2参照)。