明治10年代における社寺の創立再興復旧制限の成立過程について

摘要

明治10年代の社寺の創立再興復旧に関する一連の政策は，結局は当初の方針に回帰することとなった。ただしその過程で，社寺数の増加の問題から，社寺の体の定義，信教の自由と古社寺の保護の対立，400年前社寺建造物調査,再建年限の問題などを生み出し，近代における社寺造営のあり方に，非常に大きな影響を及ぼしたと考えられる。しかし一方で，上記にあてはまらない社寺の創立も，実際には数多く行われている。この規定の運用とその影響の解明は，今後の課題である。