遊休不動産を活用したコミュニティビジネスの成長過程に関する研究 その1:熱海市でのリノベーションまちづくりにおける関係者の活動概要

摘要

地方都市の人口減少が進み、定住支援や雇用創出が求 められるなか、地元の民間企業が事業性を持ちつつ持続 的に地域課題を解決するコミュニティビジネス(以下 CB) が注目されている。そのなかで、近年、まちの遊休不動 産を活用し、都市の経営課題の解決を民間主導で行うリ ノベーションまちづくり(以下、リノベまちづくり)の取り 組みが全国で行われている。 本研究では、リノベまちづくりをCB のひとつと捉え、 まず、活動開始から現在に至るまでの事業プロセスと活 動関係者が果たしてきた役割を関係者の証言を基に整理 する。そして、遊休不動産を活用したCB を成長させるた めの知見をまとめ、今後の課題を明らかにすることを目 的とした。また、ここではCB を、住民が主体的に地域の 課題解決に取り組む事業活動と定義した。なお、CB の取 り組みについては、組織間の連携や資金調達に注目した 研究は見られるが、事業の成長過程とその中での関係者 の活動内容について詳細に追ったものは少ない。