戸建住宅の断熱改修による居住性能およびエネルギー性能の改善効果に関する研究その1 数値シミュレーションによる部分断熱改修効果の定量評価

摘要

近年，我が国において住宅のストック数は年々増加傾 向にある.その中でも築35 年を超える住宅はそのストック 総数の約30%を占めており，その利活用が強く求められて いる.これらの住宅ストックは，現在の住宅に比べ性能が 劣り，その中でも断熱性能に関しては平成4 年省エネルギ ー基準(住宅性能表示断熱性能等級3 相当)以上の性能を満 たしている割合が住宅ストック全体の約24%にとどまって いることから，それ以前に建設された住宅について断熱 改修の促進がより重要であると考えられる.1)2)そこで本研 究は，佐賀県三養基郡基山町に平成4 年以前に建設された 築30 年の戸建住宅を断熱改修し，省エネルギー効果およ び室内温熱環境の改善効果を定量的に評価することを目 的とし，本稿では実証住宅の断熱改修概要の紹介および 部分改修毎における省エネルギー効果とPMV を用いた居住 快適性の改善効果を数値シミュレーションにより定量的 な評価を行う.