集落構成の変容にみるサスティナブル?コミュニティの原則に関する基礎的研究:大分県姫島村北浦地区におけるケーススタディその２

摘要

本報では，持続可能な地域づくりに関する知 見を，古き良き時代の地域のあり方から得るた めに，近代に提唱された都市論と集落地理学を 組み合わせた集落構成の評価指標を用いて，集 落の変容している要素と変容していない要素の 把握を行った。変容していない，或いは変容し ながらも機能が継続している要素は，「信仰対 象物に関係する要素」，「祭事に関係する要素」， 「生業に関係する要素」の3つの要素であるこ とがわかった。一方で，変容している要素のう ち，本来の機能が失われた要素は，「自然?地 形的な要素」，第二期以降，新たに追加された 要素は，「幹線道路に関係する要素」，「公共空 間に関係する要素」の3つの要素であった。 このことから，古くから人々の生活や生業に 関係してきた要素は，変容しにくい傾向にある ことがわかった。とくに，造船所や見張り小屋 などの「生業に関係する要素」は，本来の生業 の場と継続されつつ，地域住民のたまり場にも なっていることがわかっている。