都市計画法第34 条11 号を運用した都市の開発動向とその影響要因に関する研究

摘要

本研究より以下の知見が得られた。 （1）住宅を目的とする開発行為が多く、さらに、自己用 以外の開発が条例制定後9 倍にもなっていることから、自 己用外住宅の開発において規制を行う必要がある。 （2）農地転用から開発へとつながっていることから、開 発だけでなく農地転用の内容も考慮する必要がある。 （3）開発?農地転用どちらも幹線道路沿いと市街化区域 縁辺に多く、特に市街化区域縁辺での開発に関しては、低 密度な市街化区域がさらに拡大していく恐れがある。 （4）条例制定前後の数量化分析結果より、現代は、地形 的要因よりも生活的要因を重視する開発傾向にある。 （5）予測値の高い地区の特徴より、現代は車への依存度 が高いため、駅までの距離はさほど関係なく、商業や運動 などの施設が近くにあるといった利便性が重視される。 条例制定前後で明らかに開発?農地転用の件数が増して いる。これは34 条11 号の規定が緩いということを示唆し ており、改善や、正しい運用手法が必要とされている。今 後、抽出する地区を増やすことや特徴をより詳しく読み取 ること、また、説明変数のカテゴリーを増やし予測値の精 度を上げるなどをして、知見をさらに深めていく。最終的 には、条例の正しい運用手法や、新しい条例の提案をし、 少しでも都市計画やまちづくりの向上につながるのが好 ましいと考える。