ソウル蠶室地区開発に関する研究:蠶室地区総合開発計画'70の評価を中心に

摘要

ソウルは1960年代の人口急増により、漢江の南側までに市域を拡張すると共に漢江沿岸開発に着手した。それは漢江沿岸計画位置図(図1)で示すように漢江沿岸を中心に帯状に開発を進めようとするものであった。その一環として、河中島であった汝矣島と蠶室島周辺の開発が行われ、前者は輪中堤建設により宅地開発が、後者は埋め立て土地区画整理により開発された(図2,3)。特に蠶室地区総合開発は、表1から明らかなように1970年と1974年の2度にわたって計画された。その内蠶室地区総合開発基本計画'74(以下、1974年計画)は、韓国において都市設計のモデルとなった計画であると評価されており、様々な研究がなされてきたのに対して、蠶室地区総合開発計画'70(以下、1970年計画)についてはほとhど研究されていない。本稿では、今まで扱われてこなかった1970年計画に着目して、その計画手法を詳らかにすると共に、1974年計画と比較をすることでその重要性を明らかにする。