柱にSTKR材等を用いた既存不適格鋼構造建築物の地震応答と補強方法(その12 STKR柱を用いた立体十字形架構の2方向載荷実験に関する考察）

摘要

[1]無補強試験体は，1方向載荷では柱はほぼ弾性状態であつたのに対して，2方向載荷では柱は塑性化し，柱の損傷は2方向載荷の場合の方が明らかに大きくなつた. 1方向載荷の場合と2方向載荷の場合で，架構の崩壌型が異なるケースがあることを実験により確認した.[2]山形鋼により柱梁接合部を補強した立体十字形架構の力学性状を把握し，その補強効果を確認した.[3]柱とパネルの両方を補強した試験体では，架構の塑性歪エネルギーが最も大きくなり，梁とパネルで効率良く塑性歪エネルギーを負担していた. [4]柱のみを補強した試験体では，柱は降伏せず，梁は若干塑性化したものの，パネルが架構の塑性歪エネルギーのほとhどを負担していた. [5]全塑性曲げ耐カについて梁とパネルの実験値が計算値に比べて低下したため，塑性ヒンジの発生順序は節点塑性モーメントの比較による大小関係と一致しなかった.