騎楼街区住宅の改修?建替の建築行政システム: 中国広州市騎楼街区住宅の改修?建替に関する研究 その1

摘要

中国広東省の省都広州市の中心市街地には1920～30 年 代に建設された沿道型建築様式である騎楼が広汎に現存 し、騎楼が連なる騎楼街路は36 を数える。しかし、改革 開放政策にもとづく経済成長は都市幹線街路の拡幅、超 高層建物の建設などを伴って、これら伝統的な中層建築 市街地の消滅を招きつつある。他方、広州市政府は1998 年、「広州市歴史文化名城条例」を定め広州市のアイデン ティティとして騎楼街並みの保護を重要視し、1999 年か ら現在の広州市騎楼街並みを対象に保護?開発事業を行 っている。保護?開発事業の内容は主に騎楼ファサード の改修、街路整備による交通混雑の緩和、都市広場設置 によるオープンスペースの確保といった内容である。そ の為この事業では騎楼街区住宅の内部空間の改修?建替 は行われなかった。しかし、これまでの調査で騎楼街区 住宅の居住環境における課題が存在する事が明らかとな った。また、内部空間の改修?建替が行われた騎楼街区 住宅でも居住環境の課題は残されたままである。今後も 進められる改修?建替事業の為にも現代的居住環境を実 現するにはどの様な改修?建替を行えば良いのかを明ら かにする事が研究目的である。