旗本西高木家陣屋 嘉永度下屋敷御殿の建築的性格について:高木家文書による研究 その５

摘要

本稿の分析対象である西高木家陣屋は、在地支配を行った2300石の旗本交代寄合衆で、知行地(現在の岐阜県大垣市上石津町)に上屋敷と下屋敷を構えた。知行地に複数の屋敷を構える点は大名に類似する。本稿では、そのうちの嘉永年間に建造された下屋敷御殿(嘉永度下屋敷御殿)の建築的な性格について明らかにする。西高木家陣屋の沿革、天保３年(1832)に再建された上屋敷(天保度上屋敷御殿)の建築構成、本稿で取り上げる嘉永度下屋敷御殿の成立過程については既に報告した。これらの成果を踏まえて考察を行う。分析に用いた資料は、高木家文書のうち、嘉永度下屋敷御殿に関する文献24点である。