民間提案型仮設建築による居場所づくりに関する研究:東日本大震災被災地の岩手県大槌健康サポートセンターを事例として

摘要

東日本大震災では、応急仮設住宅が897地区で52,129戸建設されたが、その多くがプレハブ型である。政府は、被害の甚大さを踏まえ災害救助法の弾力運用によって比較的柔軟に対応したが、設置場所や入居方法、設備上の課題など多くの問題を抱えている。また、プレハブ型の応急仮設住宅の建設単価は、撤去費用も換算すると、1戸あたり約700万円*1が必要であるなど、ハード面?ソフト面の課題が指摘されている。これらの状況のなかで被災地では、プレハブ型の供給システムとは違った、地域性やコミュニティの関係性を担保して孤立を防ぐような居場所づくりが必要であるとの考えなどから、様々な「民間提案型仮設建築＊2」 (以下、民間仮設)のプロジェクトが実践されている。