駅コンコースにおける旅客の歩行経路分析:混雑下での旅客の先読み行動，並びに回避行動について

摘要

駅改良工事の計画段階には，その駅の群集の流れの実態を把握すること，そして改良後の変化を予測することが重要である。しかしながら，特に首都圏の駅では旅客の人数が多く，また複数の昇降設備や出入口が存在することから旅客の動きも複雑でこれらは簡単ではない。筆者らは，このような現状の下で，旅客行動の観測と利用実態に即したデータ取得および解析を進めているが，その全てを理解できるものではない。特に，人の交錯が頻繁に起こる駅コンコース上の旅客行動には，検証すべき現象も少なくない。例えば，次の駅コンコースで散見される現象は，未だ検証されておらず仮定として扱っている。１ )旅客は，移動に伴うエネルギーと時間の浪費を少なくしようとする習性があり，最短経路で目的の改札や階段に向かうが，その経路上に同一方向の流動が在る場合，交錯を避けるために先読みをして歩行経路を変更する。２ )対向する人の流れを回避する旅客と回避しない旅客がいて，目的地に到達する時間には差が生じている。