建築物総合 ES ツールと CFD の連成解析に関する研究（その 1）連成解析手法の概要及び中央式空調システムのオフィスを対象としたケーススタディ

摘要

国内で開発が行われている唯一の総合エネルギーシミュレーション(ES)ツールとしてBESTがある。空調?照明?換気?衛生などの建物全てのエネルギー消費量を計算することを目的としており、総合的な省エネ評価及び対策を講じることが可能である。但し、室内空間をゾーン毎に１質点で取り扱っているため、省エネ空調システムの検討やゾーン間だけでなくゾーン内の物理量の空間分布が顕著となる大空間等では、快適性?空調システムの挙動共に予測精度に問題がある。一方、室内側の評価手法としてはCFD解析や分野に特化した専用ツールがあり、それぞれで詳細な検討が行われているが、空調設備や照明設備などのシステム側の挙動までを広く考慮した検討は殆ど行われていない。空調システムシミュレーションとCFDの連成解析に関する研究はこれまでも幾つか行われているが1)2)、本研究ではBESTとCFDの連成解析手法を提案し、設計支援?性能検証ツールとしての可能性について検討する。本報では、特にBESTの空調システムモジュールとCFDとの連成解析の概要を示すとともに、中央式空調システムを採用したオフィスを対象とした定常解析の結果を報告する。