乳幼児溺れ防止システムに関する研究～浴槽の流体シミュレーションの検証と浮体重心設計への応用

摘要

本研究の目的は，低コストであり，設置と運用が容易な乳幼児溺れ事故防止システムを開発し，日常生活空間内における，乳幼児の溺れ事故防止を実現することにある．本稿では，事故発生の迅速な検知のために試作した加速度式浴槽内異常波動検知システムと水上構造物動揺シミュレータを用い，センサ封入浮体部の最適形状についての検討について述べた．シミュレータの基本性能確認のため，乳幼児の溺れを想定した5 種類の造波周波数においてシミュレーションを行い，実機との比較を行った．得られた波形に対して周波数解析を行った結果，加速度の大きさ，周波数とも，同様の傾向が見られた．これにより，シミュレータによる浴槽内における浮体挙動の再現性を確認した．最適なセンサ浮体重心位置の検討では，浮体中心から最下部において，重心位置を5[mm] ごとに設定し，計測を行った．重心点が球中心に近づくにつれ，応答性が優れることが確認できた．