LSM(Linear Stepping Mechanism)方式による脳血管内手術のための遠隔手術デバイス

摘要

脳血管内カテーテル手術は，従来の開頭手術に代わり，動脈瘤に代表される脳血管疾患に対する医療を飛躍的に低侵襲化する手術法として，安全性や患者のQuality of Life の観点から注目を集めている．しかし，術者（医師）に高度な技術を要求するため，カテーテルを的確に操作できる医師の数は需要と比較して，依然として少ない．また現状では，術中には常にＸ線カメラが使用されるため，術者は長時間に渡って放射線被爆を受けることになる．これらの問題を解決するため，筆者らはマスタ·スレーブ方式の遠隔手術システム等について研究を進めている．カテーテルの確実な操作と安全性を考慮したスレーブデバイスについて研究を進めてきており，メカニカルペンシルの機構を利用したLinear Stepping Mechanism（以下，LSM）方式によるカテーテルの送出機構を提案した．しかし，実用化のためには，さらに送出精度およびユーザビリティを向上することにより，手術の安全性を向上し，医師への負担を軽減する必要がある．そこで本稿では，LSM 方式に対して機構の再検討を行うことで新たなスレーブデバイスを試作し，送出速度や送出力等について性能評価を実施したのでその結果について報告する．