鏡面形状計測に基づく大型展開アンテナのビーム制御

摘要

大型展開アンテナを搭載したETS-Ⅷ（きく8 号）の実験においては、ビーム形状と指向方向の時間変化が報告されており、衛星の食の前後のその変化が大きく、アンテナの熱歪みによるものではないかと考えられている[1]。ビーム形状と指向方向の変化は、それぞれのビームの照射エリアやレベルの変動を招き、サービス品質に大きな影響を与える事が懸念される。反射鏡の温度変化に寛容な熱構造設計の提案[2]や、熱構造変形の詳細な再現解析[3]などの取り組みが行われているが、我々は、軌道上で鏡面形状を精密に計測し、計測された鏡面形状に基づきビームを常に安定化させる手法の成立性を検討してきた。具体的には、写真測量の原理に基づく3 次元画像計測の技術をもちいて鏡面形状を軌道上で精密に計測し、計測された刻々の鏡面形状に対してフェーズドアレー給電の最適の励振係数分布を求め、その励振係数分布を用いてDBF を運用する事により、地上のアンテナパターンを常に最適に保つ方式を提案するものである。