環状切欠き試験片を用いたNi基合金の多軸クリ一プ破断特性および寿命評価

摘要

Ni基合金は，高温強度や耐酸化性に優れており，蒸気 温度700°C級の先進超々臨界圧（A-USC)発電プラント の候補材料として注目されている.しかし，Ni基合金 の熱膨張率は現在のUSCプラントのフェライト系耐熱 鋼に比べて大きく，蒸気温度も上昇することから，厚肉 部に適用した場合発生する熱応力が大きくなる可能性が ある.また，高温構造部材の多くは切欠きに類する応力 集中部が多数あり，これらの設計や寿命評価においては 多軸応力の影響を考慮した健全性評価が不可欠である.A-USC発電プラントの研究開発に伴い，これまでボイ ラ候補材料としてNi基合金HR6W, Alloy 617および Alloy 740/740H,さらにこれらの合金をベースに種々な相 当材が開発されている.また，各種候補材料の機械 的特性について，クリ一プ強度を中心に数多くの研究が 報告されてきた.しかし，これらは単軸応力下で実 施されたものが多く，多軸応力下での研究例はほとんど なかった.