自動車排熱利用に向けた大容量ループヒートパイプの研究

摘要

近年，先進国では自動車の保有台数の増加により地球規模でのCO2問題に発展している．そのため世界各国において自動車の燃費規制強化が進んでおり，自動車の燃費向上が重要な課題となっている．そこで，今まで捨てられてきた未利用熱エネルギーの回収が注目されている．本研究では自動車排熱における未利用熱エネルギーを有効利用するための熱輸送技術として，無電力かつ単純構造で長距離の熱輸送を可能にするLoop Heat Pipe（LHP）に注目した．著者らはこれまで作動流体に精製水を用いた大容量LHPの設計・製作・実験的検証を行い，約2 mの熱輸送距離，5.5 kWの熱輸送性能を持つLHPの開発に成功した[1]．しかし，これまで大容量LHPを研究した事例が少ないため，数kW級LHPの解析的研究はほとんどされていない．そこで本報では大容量 LHP に対して定常解析モデルを新たに構築し，実験結果と解析結果の比較により本解析の有用性について検証した結果を報告する．