長押の構造的性能向上に関する実験的研究:柱に切り欠きの無い接合部実験

摘要

今回の実験では、長押の回転剛性は長押幅による差はあまりみられず、材料強度や初期滑りなどのばらつきによる影響が大きいことがわかった。また、長押の構造性能について、わたりあご掛け仕口の回転剛性と降伏モーメントの計算式、貫のモーメント計算式による比較を行ったところ、これらの算定式での評価は危険側の値を与えるということがわかった。また、大楔を用いた試験体において、他のタイプとは異なる挙動を示し、規則性が不明確であるなどの問題が残った。今後はこれらを改善し、より明確に長押の効果が判断可能な試験方法の検討が必要である。