都心住宅地を想定した二階リビング住宅の熱負荷シミュレーション

摘要

2 階建て住宅の多くは1 階にリビングが配置される。温熱環境面から考えるとリビングにおける家族の滞在時間は他の室よりも長く、建物全体の熱負荷の支配的要因になりやすい。1 階リビングプランは2 階空間を挟み更に屋根がある為、一般に2 階リビングプランよりも断熱性能に優れるものと考えられる。しかし一方で、都心住宅地において、眺望・採光・通風・プライバシーなどを考えれば、2 階にリビングを配置するのも有効と考えられる。この際、次世代省エネ基準に適合した住宅であれば建物外皮性能は高く、断熱性の面からは1 階リビング・2 階リビングのプランによる熱負荷にあまり差は生じないものと考えられる。この場合に両プランの熱負荷面での優位には、適切に日射を得られるか否かが大きく影響するものと考えられる。特に都心住宅地であれば十分な隣棟間距離をとれない場合に隣棟建物による日影が大きな要因となり得る。