街並み構成材料の地域特性に関する調査研究:その29 中心業務地区における外壁景観構成材料の多様化‐統一化傾向評価・日本とロンドン

摘要

ここでは、都市景観を構成建築物の外装材料などの選択結果がもたらした物質の集積と連続として捉え、これまでに、地区背景を考慮し選定したわが国の主要中心業務地区42 地区について、外壁景観の調査を行い、仕上材料が保有する材質、質感、形状、色彩及びこれらの包括指標でもある仕上コストから成る「性能価値」グレードの選択が、立地が属する地域の経済力や人口条件がもたらす「空間価値」と大気・自然環境条件から成る「環境価値」の二つの判断基準から決定されていると推定、これら三者の因果関係を評価、報告1）してきた。今回は、前報その28 の色彩に引き続き、各地区の外壁景観構成上、主要な因子である構成材料を取り上げ、街並みがどの程度「動的で変化」に富む多様化傾向にあるのか、あるいは、「静的で安定」した統一化傾向にあるのかの概要評価を試み、今後の景観条例策定等への参考資料提供を目的とし、国内42 地区のみならずロンドン市内との比較検討も併せ行った。