周囲の景観と調和した屋外広告物規制に関する研究:石川県金沢市を対象として

摘要

事例１にみるように、審査会は、美しい景観形成に資する場合には、条例の基準を超えて規制緩和を行うことができる。また、事例２、３からは、数値基準を用いずとも、1 件ずつ個別に審査することで、周囲の状況に配慮した規制が可能となっている。一方、事例３にみるように、事業者は審査会の意見に必ずしも従うわけではない。審査会は条例に定められている諮問機関であり、デザイン変更への強制力を持たないからである。このように、審査会という手法を用いることで、周囲の景観に調和した規制が行われていることが明らかとなった。今後は、審査会の意見の遵守をいかに担保できるかが課題と考えられる。