ペナン市ジョージタウンのキャンベルストリートの整備計画とその実施・再整備の経緯 :自治体レベルで行われるまちづくりの国際的な技術移転に関する研究 その1

摘要

以上のキャンベルストリートの整備計画とその後の経緯を踏まえ、まちづくりの技術移転を実践する上での課題として以下を指摘したい。①長期的に地域をケアする専門職員の存在：キャンベルストリートのプロジェクトが10 年を要しても実現した背景には、横浜側の提案意図を理解していたプランナーの専門職員が事業終了後も取組みを継続することが可能であったという環境が少なからず影響している。まちづくりという長期的プロセスにおける多主体とのコミュニケーションの継続性の担保という観点からもその重要性は指摘できる。また、提案の実現から10 年以上を経て再整備が行われたことは、都市を取り巻くさまざまな要素が時代の経過とともに多様に変化することが影響しているが、そうした変化への適切な対応という点においても長期的に地域と付き合う専門職員の存在意義は大きい。こうしたことは、行政職員が定期的に異動する日本にとっても示唆に富むところである。②地域の住民・商業者の組織化：商店会設置後に計画が実現したことからは、地元の人々の組織化の重要性が指摘できる。これは、個別意見の調整組織としてだけではなく、地域コミュニティづくりという面においても意義が見出される。次報では、現在セベランプライ市で進められている技術交流事業について報告したうえで、上記指摘を含め、まちづくりの国際交流を行う上での課題を考察する。