H 形断面梁の最大耐力時部材角と幅厚比の関係についての研究 その1 SN490 N/mm~2 級鋼材の構成板要素と最大耐力時部材角について

摘要

高強度鋼材（HT780）はその材料強度の高さにより, 同じ耐力値を目標とした場合, 普通鋼材（SN490）に比べて断面を小さくすることができる. 一方変形能力に着目すると, 現行の幅厚比規定は塑性変形倍率によりその規定値を決定しているため, 弾性変形角が大きいHT780 などの高強度鋼材は, 図1 に示すように過大な部材角が要求されることとなる. しかし設計クライテリア2)としての層間変形角は, SN490 を用いた骨組と同じであると考えると,図2 に示すようにHT780 の部材の最大耐力時部材角θmaxは同一断面寸法のSN490 部材に近い値を有しており, 最大耐力時部材角によってHT780 の断面寸法を算定できる可能性がある. しかし, 他の断面でのSN490 とHT780 の関係は明らかになっていない. そこで, 本研究では，SN490 とHT780 の最大耐力時変形角と構成板要素の幅厚比の関係に関するデータの取得を目的とする. その１では, SN490 の構成板要素のフランジ幅厚比b/tf とウェブ幅厚比d/tw の組合せにおける最大耐力時部材角θmax 等高線とその形状傾向を明らかにし, SN490 の構成板要素のフランジ幅厚比b/tf とウェブ幅厚比d/tw の組合せにおける終局時の座屈形式領域と弾性座屈領域を明らかにする.