コンスタイティヌスの聖墳墓教会:初期キリスト教時代の聖墳墓教会の図像の考察

摘要

本稿は、コンスタンティヌスによる建設当初の聖墳墓教会を表した図像について、その特徴と歴史的背景を踏まえて考察したものである。エルサレムに建つ聖墳墓教会は、コンスタンティヌスにより4世紀に建設されて以降、幾度も破壊と再建を繰り返しており、そのオリジナルの姿に関して、明らかになつていることが少ない。これまで、多くの研究者によって、創建時の様子を再現する試みが行われてきており、復元自体が聖墳墓教会に関する研究の主たる目的であることも多かった。しかし、復元の試みは、当時のエルサレムへの巡礼記や発掘調査の結果など判断材料が限られることから、特別決定的な復元案はなく、正確な再現は今後も望めないと考えられる。