文化年間以前の榛名神社社殿の復原と検討 三村家文書『諸社記』「榛名山」を通して

摘要

復原社殿は現在の社殿と規模などに違いがあるものの、垂木配置などに現在の社殿と同様の形式を見て取ることが出来る。榛名神社が文化三年に造替されたこと、『諸社記』「榛名山」が文化十年以前に書かれた可能性が否定できないこと、『諸社記』が実際の建築を見て記録した可能性が高いことから、『諸社記』「榛名山」は榛名神社の文化三年の造替前の社殿である可能性が高いと結論付ける。　大河直躬氏が日光東照宮や台徳院霊廟を例に本殿と石の間の間口幅の違いが権現造の表現を高めていると指摘している5) が、榛名神社も規模は小さいものの同様の手法を用いており、かつ三村治朝が接続部分に対し大きな関心を寄せていたことからも、幣殿と本殿の接続部分の小壁がもたらす意味についてさらなる考察を行っていきたい。