東京山手における住居系建築物へのテナント進出の様態- 中目黒・代官山・原宿をケーススタディとして-

摘要

　都市の変容を捉える上で大規模な再開発の影響だけでなく、周囲の小さな変化にも着目する必要があると考える。　東京山手にはかつて戸建住宅やアパートが建ち並んでいた閑静な住宅地であったが、バブル崩壊(1990 年) 以降に商業化が進行し、住宅と商業建物が混在した状態となっているエリアが存在する。それらのエリアは大規模な再開発ではなく、住宅が商業ビルに建て変わる建物そのものの更新や住居系建築物に商業用途が進出することで住商混在の街へと変容している。特に商業用途が進出する住居系建築物においては用途とハードウェアのミスマッチングが起きている。しかし、これまでの研究では用途ごとの分布様態以上に踏み込んだ研究が成されておらず、住居系建築物がどのようにして商業用途を受容しているのかについては詳細に述べられていない。そこで、本研究では住居系建築物へのテナント進出の様態を明らかにすることを目的とする。