北海道の建築板金技術の発展と現代の住宅作品の外観にみる使われ方

摘要

国内の板金業界は戦前の全国組織化から1980年代にかけて人的・物的な支援体制を整えた。特に北海道では、その特殊性から独自の体制が整い、異業種間交流や技術開発の発展に繋がった。また、戦後の諸制度整備や高断熱高気密化の流れの中、道内各社が厳しい気候条件に適した独自の製品を開発し、道内のみならず国内全体に普及した。　近年、都市住宅では無落雪の雪処理が重視されるが、単に陸屋根にするのではなく、落雪しにくい勾配屋根の工法等で屋根形状にも選択肢が広がった。また、当初は屋根に特化していた板金技術が成熟し、外壁にも適所で応用された。これは、建築分野での製品開発や技術者の創意工夫によってなし得たものである。北海道の板金技術は、若年技術者育成などの課題を持ちつつも、道内住宅の外観を特徴づけ、住宅性能を向上させる役割も担保するものである。