トルコ・カッパドキアのウズムル岩窟教会堂における壁画のドキュメンテーション

摘要

トルコ・カッパドキア地方には、4 世紀にキリスト教の修道士が居住するようになって以降、400 を超える岩窟教会が存在している1。しかし、適切な管理・保存がされているとは言い難く、現状のままでは岩石の浸食などにより2、多くの建築物および壁画が危機的状況下にある。このような状況のもと、筑波大、大阪大、東京文化財研究所では、共同で「トルコ・カッパドキアのウズムル岩窟教会堂壁画の保存修復にむけた調査研究」を実施している。2013 年に予備調査を実施した後、トルコのネブシェヒル博物館と連携して、2014 年9 月に建築史学、壁画の保存修復、地盤工学、環境工学等の専門領域からなる国際調査チームによる第一次ミッションが実施された。筆者らは、ドキュメンテーションを担当し、教会堂の建築と壁画の高精細撮影および保存状態のデータベース作成を行なった。