インクジェット法によるトリプルカチオンペロブスカイト層の成膜とその光電変換特性

摘要

有機・無機ハイブリットペロブスカイト結晶を光活性層に有するペロブスカイト太陽電池は、溶液塗布による成膜で20%を超える高い光電変換効率が得られることから、近年高い注目を集めている。我々は、ペロブスカイト太陽電池のモジュール化に向けてインクジェット法による成膜手法について、研究開発を進めている。これまでは、ペロブスカイト層となるCH_3NH_3PbI_3 を用いたインク溶液（ペロブスカイト塗布溶液）の濃度と吐出液滴径の最適化を行い、塗膜の平坦性と光電変換効率の関係を明らかにしてきた。その結果、DMF を溶媒としたインク溶液の高濃度条件（15～35wt%）において、成膜が安定する最適化条件を見出している。そこで、本研究では、スピンコート法ならびにインクジェット法よる成膜が報告されているトリプルカチオン型ペロブスカイト (Cs_x(MA_(0.17)FA_(0.83))_((1−x))Pb(I_(0.83)Br_(0.17))_3 をインク溶液として用い、FTO ガラス基板上に低温で作製した酸化チタン電子輸送層の上にインクジェット法で成膜する方法で、ペロブスカイト太陽電池を作製した。